ママ座談会(第二回/全三回)

ママ座談会 子育ての"リアル"聞かせてください!

 幼児期を過ぎて、小学生から高校生へとどんどん成長していく子どもの心と体。それと同時に子どもに対する悩みが変わり、親自身にも体の変化が出てくるなど、子育てには不安や戸惑いが尽きないもの。そこで同世代ママの子育て事情をインタビュー。日頃の悩みと不安、子どもとのコミュニケーション、そしてママ自身のことについて本音を聞きました。

<更新予定>
第一回 子育てでのお金のこと 2023.10.10更新
第二回 子どもとのコミュニケーション 2023.11.10更新
第三回 ママ自身の心と体 2023.12.10更新予定

ママ座談会

撮影協力:sunnys café(盛岡市本宮荒屋)

中村由子さん

中村 由子なかむら ゆうこ(39歳)さん

家族構成/夫(47歳)、長男(中1)、長女(小5)、次女(小2)、三女(年中)、四女(3歳)

神田容識美さん

神田 容識美かんだ よしみ(41歳)さん

家族構成/夫(46)、長男(中2)、次男(小6)、長女(年長)

級木美子さん

級木 美子まだのき よしこ(45歳)さん

家族構成/夫(44)、長男(高2)、次男(中3)、三男(小2)


第二回「子どもとのコミュニケーション

反抗期はどう受け止める? どう乗り切る?

― 子どもとのコミュケーション方法を聞かせてください。

級木:うちの長男が小学校中学年くらいからすごい反抗期で。いきなり100%になるのは、キレキャラの旦那そっくり。私が息子と言い合いになって「もう、家出てけー、全寮制の中学校に入れてやるー」と言い放ったのはいいものの、実際に寮費を見て「あー、無理だぁ…」ってなったり。

一同:あははは(笑)

級木:本当に追い出したくて精神的に無理だった。でも、お姑さんに「車に乗っている時ってお互いに同じ方向を向いているから、意外と本音でるのよ」と言われて。だから、送迎はコミュニケーションの時間。こちらから耳を傾けるようになったせいか、長男も学校であったこととか、ぼそぼそっとしゃべってくれているかな。学校と習い事の送迎時間に本音を出して、それから水泳で思いっきり発散して…ということがうまく重なって、気が付けば反抗期を抜け出していた感じですね。

神田:同じ方向を見たり、背中合わせになったりすると話がしやすいのはあるよね。うちは、長男が水泳を辞めてから家にいる時間が長くなったし、次男は週6日でスイミングだから、1対1の時間が取れているかな。次男は毎日反抗期。「こっち来るな!」というオーラがまだまだ続いているけれど、今日はいつもと何か違うな…という時だけは「なんかあった? しゃべりたかったら話をしてね」と声をかけるようにしているからか、父親よりは母親に話をしてくれる。

級木:うちも旦那がキレキャラだから、子ども達はお父さんに本音を話すのは苦手。次男が私立高校に行きたいって伝える時も、旦那が「やりたいことあるなら、頑張れ」って言った瞬間に泣き出していたもんね。最終兵器的な父親がいることで、些細なことは母親に相談するっていう流れができているのはいいことかな。

中村:私は「ただいまー」の声の大きさとトーンを気にするようにはしていて、声に元気がない時、元気過ぎる時、なんか引っ掛かる感じがある時は、学校行事を確認しながら、運動会前で練習が続いていてハイテンションなのか、練習で疲れているのかなとかも想像しながら、子どもの様子をうかがいます。無理には聞き出さない。ポロっと出るまで待つ感じです。というのも、こちらがしっかりと受け止める体制で聞いてしまうと、子ども達から感情が溢れて止まらなくなるくらい話が続いてしまうから。満たされる壺の底に穴が開いているかなと思うくらい、どの子もわーっとしゃべりたくなる。

fam+:5人も子育てしていると、やはり時間に追われますよね?

中村:時間が無いのもそうだし、私自身のキャパを超えてしまうんです。余裕の無さを毎日反省しています。自分も6人兄弟の末っ子だったから、今は親に話しかける時じゃないって子どもが察知して我慢しているのが分かる。でも、子ども達の聴いて欲しいスイッチを入れて、中途半端にさせてしまうのが申し訳ないから、だから「ただいまー」の声だけに集中している気がします。

― 兄弟同士でお互いに気になる事を相談し合っている様子は?

中村:長女は、三番目の話を聞いたりして、時々私に教えてくれたりはしますね。長男は路線がズレていて、周りがあんまりみえてないかな。

級木:でも5人兄弟だと、上二人はもっと頼りになってくるよー。

中村:そうですよね。自分が末っ子だったから、兄や姉がこんなに頼りにされていて、こんなに大変だったなんて知らなかったです。私の場合、一番目とは18歳差、二番目とは15歳差、すぐ上の姉とも6歳差。末っ子である私の視点では、姉のせいで我慢したり、連れまわされたり、やりたいことをやらせてもらえなかったって思っていました。でも、自分の子ども達をみていて、上の子って大変なんだな。それと同時に末っ子の感覚もよくわかって、すごく不思議な感じ。子ども達を育てながら、自分の兄や姉への感謝が湧いてきています。

神田:うちも最近は、長男がすごく戦力になってきて、末っ子が長男と寝るとか言い出しても一緒に寝てくれる。本当に助かる!

級木:そうだよねー。うちは長男が高校生になったら、もうお父さんみたい。「お前らいい加減にしろーっ!」と次男や三男を一喝する私の姿を見て「お母さんの口が悪いから、こいつらも口が悪くなるの分かってる?」って言われて。

神田:うちは長男が170cmを超えて、私よりも大きくなったことで、すごい大人に近づいているのを感じる。末っ子をおんぶしている様子を見たら、普通の親子みたいだし。

級木:私は長男に小学校のうちに追い越されたー。なのに、反抗期っていう状況はなんか嫌だった。子どもに言い返したいけど、体つきが大きいから身構えちゃう感じ。旦那も長男に追い越されてから「何も言えねぇ」ってなってた。しかも、二人とも子どもからのお下がりを着ているから、親の威厳って…と思うことはある。足も28cmなんだよー。

神田:身長も追い越されて足も大きくなったけど、でも、私は長男には勝てると思う。

級木:えっ、どういうこと?

神田:すごく体は大きくなっているんだけど、心とか中身がポキッと折れそうだから、うん、勝てる。

一同:(笑)

級木:そうそう、中身はまだまだ青臭いよねー。

ママ座談会

― 子どもが「やりたい!」と言い出した時は?

中村:子ども達が「やりたい!」って言ったとき、兄弟のバランスを考えすぎて、初めから否定しちゃうのはあるかな。「大丈夫なの?」から入ってしまうから、夫から「やる前から決めつけすぎてやりたいことをやらせてあげられていないの、気付いてる?」って言われちゃう。そこから、家族で話し合いを重ねて、それぞれのやりたいことの間を取るようにしているかな。やらせてみたらいいじゃんって言われるけど、後のことを考えると躊躇してしまって。

級木:やりたいことはやらせてあげるつもりで、話は聞きます。だけど、場合によってはうまく方向転換をしたり。三男が「ラグビーやりたい!」ってなった時も、長男からさりげなく水泳の良さを伝えてもらって水泳に誘導したり。その三男が、今度は友達の影響で「サッカーやりたい!」って言い出した時は、かつて野球少年だった長男がササ―っと来て「サッカーより野球をやらせた方がいい」と私に助言してきたので、三男に聞いたら「野球をやる!」って。でも、こちらが言わせた風にはしたくないから、一応本人には「自分でやりたいって言ったよね?」と念押しはしましたよ。

神田:うちは基本的にプレゼン方式。「どのくらいやりたい気持ちがあるのか?」 まずは本人に考えさせて、それに対してお金を出すみたいな。でも、習い事が増えて、月6万円にまでなった時はさすがに厳しいなと。そこで1年更新を提案したんですよ。毎年3月に習い事を続けるかどうかの話し合いがあるんです。例えば、6時間授業が増えてきて通うのが難しい時はやめますか? それとも続けますか?と。ちなみに今、娘が体操をやっているけれど、下のクラスが物足りなくて、上のクラスに変えてもらったら、なんか思ったのと違うみたいでストライキを起こしているんです。で、今はひとますお休みでいいから、3月までに辞めるか辞めないか決めてねって。

fam+:でも、親としては続けて欲しいという気持ちはありますよね?

神田:そうなんです。娘は兄弟の中でも一番運動神経が良いので、親としては続けて欲しくてたまらない葛藤はありますよ。物で釣ったりもしたけど、頑固な娘には通用しないし、だまされないですね。でも、やる気がないと進まないこともよく分かるから、最終的に決めるのは本人。それに、走るのも好きなので、小学生になったら陸上競技とか新しい選択肢も考えてもいいかなと。

ママ座談会

忘れたくない、子どもの成長を感じる瞬間

― 子どもの変化で印象的なことは?

級木:うーん、何だろう…節目ごとに変わってきただろうし。あえていうなら、長男の場合は水泳なんだけれど、自分が打ち込んでいることって必ず壁にぶち当たるでしょ。その時に親からのアドバイスを参考にしつつも、自分で決めていくことでひとつ大人になる感じはあるかな。その時は本人が壁を超えたんだけども、家族みんなで超えたような気持ちになる。家と学校の往復の他に、習い事とか別のグループに踏み入ることで、子どもも変わるし、関わる親も変わってくる。その中で、段々に子ども自身が世界を広げていくのを感じると、成長してるなって。

fam+:新しいグループに入る時に親としての戸惑いはなかったですか?

級木:私自身が決められた枠に収まるのが嫌なので、他の親と関わる不安よりはわくわくの方が大きかったですね。子ども達には外の世界を絶対に知って欲しいし、合わないと思ったら家族という空母があるので帰ってくればいいと思っています。打ちっぱなしのミサイル攻撃はダメだけど…ね。だから、今、次男が硬式野球のチームを通じて他の地域の子どもと話すのはかなりいい経験になっていると思う。次男がいじめにあっていた時にも、野球の練習に行くことで助かった面もあるから、違う世界にいくって大事だなって。中学校までは与えられている環境がメインだからね、学校との往復だけにとどまらない方がいいのかも。

神田:そうだよね、学校と家以外に、サークルや水泳などの違う場所を作っといてあげて良かったなとは思う。学校で嫌なことがあっても、プールに行けば違う友達がいるし、プールで思うようにいかなくて学校で気分を変えるというのもあるし。自分の居場所がいくつかあるって大事。プールでは、いろいろな年代の子と関わって、自分が上に育ててもらったのを、今度は自分が下の面倒をみるみたいなことができるようになっているみたいでね。次男について「1年生の世話を一生懸命していた」という話を学校の先生から聞くと、まあ、外でみんなに優しいなら、家で暴れるのは多少許すか…って感じですね。

中村:うちはまだ小さいから、子どもの大きな変化は実感していないですかね。でも、保育園や幼稚園くらいの3歳から6歳は大きく変わったようには見えます。動物が人になる感覚…わかりますかね?

一同:わかるーっ!

中村:会話がつながってきて、ああ嬉しいとか、トイレに行きたいって自分の感覚でものを言うとか。今まで手の中にすっぽり収まっていた子ども達が、先生や大人に見守られながら自分の力を発揮していく姿を見るようになるのは感激しますね。一番は、卒園時の子どもの背中が大きかったこと。今でも絶対忘れない!と思っていて。思い出しただけでもウルっときちゃいますね。

級木:それを考えると小学生の卒業式って、かなり淡白だよね。

中村:卒園式って、親としてホッとするのもあるのかもしれませんね。子ども自身が積み重ねたもの、親と一緒に積み重ねたものが背中から感じられるように思います。ああ、あの背中写真で撮っておけばよかったなぁ。ランドセルを背負う後ろ姿も撮ってないけれど、撮っておきたいなと思います。見えない時間が見えるような気がする。

fam+:とても素敵な瞬間ですね。もう一回、子育てやり直したくなってきました(笑)

中村:そういえば、長男が小1の入学式を終えて私に聞いたのが「大人になるのって嫌じゃなかった?」と。で、それから6年後の中1の入学式を終えたひとことが「1学期の間は小学生として扱って欲しい」と。どういうことなんだろう?って思ったんだけど「そんな簡単に中学生にはなれない」って。そういう感覚かぁと思いましたね。不安の方が先に出てくる長男としては、中学生としての責任感を負える自分にはまだまだと感じたのかもしれません。でも、小1でも中1でもその時々に伝えてくる言葉とか表現から、大人に近づいているんだなぁ、と。

神田:高1の入学式が気になるね。

中村:「母ちゃん、もういらないよ」って言われたりして(笑)。あと二人の子ども達の卒園式が残っているから、どんな背中を見せてくれるのかが楽しみです。

ママ座談会

fam+:ちなみに、中村さんは東京からUターンしてきましたが、東京から岩手に引っ越すタイミングで何か大きな変化はありましたか?

中村:子どもの変化というよりは、葛藤がいろいろありました。子ども達は「東京から離れたくない」って泣いたし。実は、引っ越しを決めたのはコロナ禍が理由でした。小学校が3~4ヶ月間リモートワークが続いて、子ども達よりも私たち親がもう限界かなって。何をどうすれば感染を防げるのか、どういう行動が正解なのかわからない状況で、家の中に5人の子ども達を閉じこめるような生活は本当に苦しかった。夫が「岩手で新しい仕事先を探すから移住しよう」って言ったのをきっかけに引っ越しを決めました。

fam+:子ども達は引っ越しには納得していなかった?

中村:今でも子ども達からは「あのまま東京にいても良かったんじゃない」とは言われるけれど、本来なら家族や友達と笑って過ごせる時間なのに、あと何年閉じこもっていなきゃいけないんだろうという怖さがあって。子どもらしく伸び伸び過ごさせてあげたい「今ここで踏み出さないと!」と。実際に岩手に来てから会話も笑いも増えましたし。夫も職場を変えたことで、時間に余裕ができたので、家事や育児への関わりが増えました。それに、18歳まで岩手に住んでいた時には気が付かないことたくさんあって。例えば、緑が多いとか、道路が広いとか。

級木:そうだよね。私も神奈川に住んでいた経験があるから共感できる。四季がないのが嫌で岩手に戻ってきたのもあったから。例えば、冬に新幹線から降りた時に、胸のあたりがひゅっと冷える感じとか、秋になって葉っぱが一斉に落ちる様子とか、そういうのって関東にいたら味わえないなと。

― コロナ禍を経て何か思うことは?

級木:うちは自宅待機期間中、家族でマージャン三昧。普段は家族が揃うことがめったにないから、今しかないよね、と。意外と明るくて前向きでした。

神田:実家に帰れないのがインパクト大きかったですね。いつでも親に会えると思っていたから、当たり前にできることができないって、今までに無いでしょ。これからは、できる時にはすぐに行動する。それをさらに意識していますね。

中村:コロナが無ければ引っ越して来なかったので、すごいきっかけにはなりました。それと、長女に関して言えば、私がコロナにかかった時の隔離生活でのこと。夫は私のいる部屋にポテチだけをポイっと投げてよこしたんですけど、もちろん具合が悪すぎてポテチは食べられなくて…。それに対して、長女は「お母さんがいない間、小さいお母さんとして頑張るね」っておにぎりを用意してくれたんです。子どものほうが無償の愛があるなぁって。

一同:おおーっ!

中村:夫と娘の違いに驚きましたねー。子どもに与えられているものって、大きいなぁって。長女の反抗期もすごかったけれど、今は頼りになる存在だし、私と感性の違う長女の話をもっと聞こうって思いました。

続きは、ママ座談会 第三回へ!(2023.12.10更新予定)