ママ座談会(第三回/全三回)

ママ座談会 子育ての"リアル"聞かせてください!

 幼児期を過ぎて、小学生から高校生へとどんどん成長していく子どもの心と体。それと同時に子どもに対する悩みが変わり、親自身にも体の変化が出てくるなど、子育てには不安や戸惑いが尽きないもの。そこで同世代ママの子育て事情をインタビュー。日頃の悩みと不安、子どもとのコミュニケーション、そしてママ自身のことについて本音を聞きました。

<更新予定>
第一回 子育てでのお金のこと 2023.10.10更新
第二回 子どもとのコミュニケーション 2023.11.10更新
第三回 ママ自身の心と体 2023.12.10更新

ママ座談会

撮影協力:sunnys café(盛岡市本宮荒屋)

中村由子さん

中村 由子なかむら ゆうこ(39歳)さん

家族構成/夫(47歳)、長男(中1)、長女(小5)、次女(小2)、三女(年中)、四女(3歳)

神田容識美さん

神田 容識美かんだ よしみ(41歳)さん

家族構成/夫(46)、長男(中2)、次男(小6)、長女(年長)

級木美子さん

級木 美子まだのき よしこ(45歳)さん

家族構成/夫(44)、長男(高2)、次男(中3)、三男(小2)


第三回「ママ自身の心と体

歳を重ねて変わる「幸せ」の重心

― ママ自身の体調はどうですか?

級木:3人目を産んだ後の生理時の貧血がひどくて、鉄剤をひたすら打っていました。ピルを飲んだりもしたけれど体に合わなかったんですよね。2年半前に専用の器具を入れたところ、生理を弱めるどころか生理が止まったんです。でも、極度の貧血から抜け出せたので、さんさの輪踊り1周くらいで息切れした当時に比べれば断然動けます。

fam+:生理が止まったことに戸惑いは?

級木:戸惑いはなくて、変化は体重が増えたことくらいかな。「こうやって老いていくんだなぁ」とか「人体って不思議だなぁ」と楽しんでいるところはあります。自分の知らない一面を知る機会になっていますね。うちは男しかいないけれど、女性の体のシステムについて幼稚園の頃から話をしてきたから、「お母さん、今生理止まっているんだよ」って話すと、「大丈夫なの?お母さん」って心配はしてくれます。

神田:私は、子どもを産むごとにラクになった感じ。3人目の時は出産もスムーズで、6月に出産して、8月には幼稚園でさんさ踊りに参加するくらい元気だった。今も歳を重ねたしんどさはないし、私のレッスンに参加してくれる70代のみなさんからパワーをもらったりして。子どもが段々に手を離れるようになってきたここ何年は、自分の体とも向き合えている感じかな。

中村:35歳から体調を崩しがちですね。もともと小児ぜんそくがあったんですけど、ずっと発症していなかったのに4人目を産んでからぜんそくが出てくるようになって。定期的に薬を飲むようにしています。朝起きられないとか、腰や肩が痛いというのもあって、神田さんのピラティスに通いながら体力向上は目指しています。あと健康診断で、貧血で引っ掛かって鉄剤を飲んだらすごく調子が良かったんですよね。年齢的にはまだまだ大丈夫だと思っていたんですけど、病院の先生には「年齢を基準に考えないで、不調もその人の個性だと思って早めに対応した方がいい」と言われたのもあって、自分の体に向き合う大切さを感じています。

― 20代、30代、40代と「幸せ」の感じ方は変わりましたか?

級木:やっぱり変わったよね。20代は仕事に必死で、成功することに喜びを感じていて結婚。28歳で出産してから30代までは子どもがメイン。好き勝手生きてきた私の中に、子どもをカワイイと思える要素があることに驚いたり。40代は子ども達の成長を見守りながら、自分の成長を感じられていると思う。まだまだやりたいと思うことがあって、これからもいろいろな世界を知る時間があることに幸せを感じています。

神田:20代は好き勝手できる自分のことが一番でしたね。30代は子どもと家族の幸せが喜びで、40代は自分のことをやれる幸せ。50代は先だけれど、今よりも素敵に歳を重ねたいと思いますね。家族の協力があって、自分のことができているので、感謝の気持ちでいっぱいです。

中村:20代は遊びも仕事も、26歳で出産してからは子育ても楽しかった。30代は仕事を辞めて、子育てメインで過ごしてきて、何が欲しいかなと思った時に、忍耐とか体力とかお金で買えないものが欲しくて。どれもこれも手に入らない(笑)。でも、子どもと夫と健康で笑っていられるのが幸せだなあって。そして、この後もこの幸せは変わらないんだろうなぁと。

ママ座談会

ママになってみて見える・広がる世界

― ママ自身が今夢中になれることは?

神田:さんさ踊り! 今年は新しく立ち上がったグループに参加しながら「福呼(ふっこ)踊り」に挑戦しました。イチから手取り足取り教えてもらって、知らない世界を知るってこんなに楽しいことはないなと。SUPとかバンジージャンプとか他にもやりたいこといっぱいで、これからも大人の部活のノリで世界を広げたいです。

級木:えー、夢中になっているのは妄想? 妄想から規格外の盛岡リンゴを使ったサイダー「さんさスパークproject」が始まったので、夜中にハッとひらめいて「あ、やんなきゃ」って。ひらめきに夢中です!

神田:ひらめきを形にするからスゴイよね。

級木:超赤字だし、誰にも頼まれていないんだけどねー(笑) でも、楽しい! ランドセルを送ろうと思ったのも「これじゃん!」ってひらめきから。国際協力NGOジョイセフ経由で、使わなくなったランドセルをアフガニスタンに送る「ランドセル・フロム・イーハトーブ」を3年やってきました。三男が小学校を卒業するまでは続けようと思っています。

fam+:そのモチベーションはどこから?

級木:東日本大震災のことが大きいかな。前年まで住んでいた宮古市も甚大な被害で、すぐに駆けつけたかったのにちびっこ抱えて行ったらかえって気を遣わせるな、と思ったり。何もできない歯がゆさとか、実際に津波にあっていないのに前年まで住んでいたからって震災について語るのはおこがましい気がしたりとか。旦那には「それでもそのとき感じたことは事実なんだから、ちゃんと言葉にしていかないと」と言われたこととか。とにかくいろんなことが今でもぐるぐる…しています。何が正しいかわからないけれど、あの時に何もできなかったことをずっと後悔しているから、これからは誰かのためにやりたいと思ったことはとにかくやっていこうと。結局、自己満足なんだけれども、生きていることへの感謝と、次の世代につながる何かをしていきたいんですよね。

中村:私も妄想好きなんですけど、級木さんとはちょっと感じが違うかな。東京で出産して子育てを手伝ってくれる人がいない経験もあって、お母さん達の健康とか検診が気になっています。ママ自身の病気の予防を…って国は言うけど、いざ検診ってなった時に「子どもはどうするんだろう?」っていう想いはあって。40代でも出産できる環境にはなっているけど、お母さんのケアはどこまで考えられているんだろうって、切実に思いますね。早期発見によって、その後の20年間子どもと一緒に生きられるかもしれないのに、検診にまでたどり着けていないこともあるし、逆に病気が見つかったとして、お母さん自身の悩みが深くなってしまうから、それに関する配慮もサポートも薄いように思うんですよね。探せばあるのかもしれないですけど、身近には無い感じですね。

fam+:確かに。

中村:孤独で寂しさを開放する場が無くて、自分の体のことだったり、子育てのつまづきだったり、もっとオープンに話ができる場があればいいのになぁと。娘たちには結婚・出産を経験してもらいたいけど、「子育てって楽しいよ、子どものパワーってすごいんだよ」って言い切れないもどかしさ、気持ち悪さ。少子化対策とは国はいうけど、子育て中のお母さん達が自信を持てない状況は変えるべきだと思う…という妄想に夢中になっています。

級木:わー、妄想仲間だ~。

中村:級木さんの行動力、本当に憧れます。

級木:一人では難しいことも、その考え方に共感できるいろいろな人とつながっていくといいんじゃないかな。

fam+:中村さんは看護師の仕事に戻るご予定はありますか?

中村:看護師の仕事に戻る気持ちは、今のところはないかな。子どもや夫や他の人と話す時間が欲しいから。でも、いずれ仕事に復帰したいとは思ってはいます。孤独感から逃れるためにも、看護師ではなくてもいいから、少しお金がもらえて、家族以外の人と話ができる環境が自分には合っているかなと思います。

級木:なんか話を聞いていて思い出してきちゃった。独身の頃はバリバリの営業をやっていて、昼夜問わず働いていたのに、結婚・出産後に子どもと二人きりの世界になって急に孤独を感じたり。外に出ていろんな刺激を受けた方がいいんだろうなと思う一方で、子どもの成長ってその時にしか見られないから一緒にいたいって思うし、揺れ動きますよね。

中村:2人目まで子ども達のトイトレをしたことがなくて、というのもずっと保育園に預けていたから、保育園でおむつが外れたんですよね。仕事を辞めて3人目のトイトレに直面した時、世のお母さんはなんて闘いを繰り広げてきたんだって、衝撃的でした。働いている時に見えている世界と、家に入ってから見える世界の違いをまざまざと見せつけられた感じですよね。あと、幼稚園バスを待っているお母さんがたむろしていつまでもしゃべっている様子をみて、毎日何をこんなに話すことがあるのかなって横目に見ながら、当時は仕事に向かっていました。今にして思えば、そのお母さんたちにとって、何気ない会話ってある意味すっごく大事で、その5分、10分があってからの一日の流れって全然違うって今なら共感できますね。

fam+:神田さんはフリーな仕事スタイルなので仕事と主婦の中間的な感じもしますが、どうですか?

神田:基本的に子ども優先ですけど、家に閉じこもるとダルくなってしまうタイプですね。上2人は3年保育で年少から預けたので、それまでは自宅で面倒をみていたけれど、一番下を早めに入園させて4年保育にして、5時まで延長保育にしたら、なんて楽なんだろうと。兄たちは、妹が長時間幼稚園にいることに対して可哀そうとか言いますけど、娘自身は幼稚園が好きだしって感じで通ってくれているので、安心して送り出せているかな。そばにいることが良いかどうかは別にして、3人目にして、ほど良い距離感で過ごせている感じ。自分一人で抱え込まずに、幼稚園という場も借りながら、いろんな方と子育てしていく感じが心地よく思えています。それに預けることで、自分が子ども達に対して優しくなれるんですよね。

級木:めっちゃ、わかる。離れた分だけ、そばにいる時間の大切さがわかるというか。

神田:だからあえて土曜日とか、旦那に子ども達を預けて出かけたりすることもあります。そういう一人の時間に、「ああ、私はやっぱりこういう時間がないとダメだな」って思いますね。ただ、学校から帰って来た時に「おかえり」って言ってあげたいから、しばらくはフルで働くということはしないかな。私自身が鍵っこで寂しさを感じていた部分もあるし。

fam+:笑顔でおかえりー!ですね。

神田:笑顔じゃないかも(笑)。「すぐに宿題は?」とか聞いちゃっているー。

ママ座談会

― 最後に、心の支えにしている言葉を教えて下さい。

中村:「毎日エンジョーイ!」。インスタグラムで見つけた4人の子どもを育てているママの言葉です。失敗する姿も、楽しんでいる姿も母親の背中を見せることで子どもを育てていきたいというその方の姿勢も含めて、いつもパワーをもらっています。

神田:「人生一度きり、やらない後悔よりはやって後悔」かな。とにかく、やってみることはこれからも続けます!

級木:星野仙一さんの「迷ったら前へ出ろ」かな。失敗しても結果は出るから、まずはやってみることですよね。成せばなる!


中村さん、神田さん、級木さんの三人によるママ座談会、お読みいただきありがとうございました。
次回ママ座談会もお楽しみに!